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第二医薬用途クレーム;完全審決は、スイスクレームの侵害および有効性に関するさらなる指針を提供する

20 November 2015

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Warner-Lambert v Actavisにおける英国特許裁判所からの完全審決は、第二医薬用途特許の権利はUKにおけるジェネリック製造業者および公共医療によってどのように注意を払われ得るかに関する指針を提供する。

Warner-Lambertは、疼痛の治療のためのプレガバリンについてのWarner-Lambertの第二医薬用途特許によってカバーされる市場をActavisが提供することを阻止する条件を課すために、Actavisに対する仮差止命令を求めた。高等裁判所は、特許侵害に関して試みるべき深刻な争点はないと認定し、仮差押命令を拒絶した。判事の論拠は、スイス型医薬用途クレームの範囲の特定の解釈に基づくものであった。さらなる進展において、高等裁判所は、Pfizer(Warner-Lambertの親会社)に対して、Warner-Lambertのプレガバリン製品に関して処方者および薬剤師に対する主要な指針を発行することをUK保険医療当局の英国国民保険サービス(NHSE)に強制する命令を認めた。
 
Warner-Lambertは仮差押命令の拒絶に対して控訴した。結局、控訴は控訴裁判所によって棄却された。それにもかかわらず、控訴判事は、(合理的な予見可能性は製造業者の主観的な意図ではなく侵害についての関連テストであると述べて)特許権者にとってより有利となる、スイスクレームの範囲に異なる解釈を適用した。製造業者の活動のみならず川下の当事者の意図も考慮するこの解釈は、完全裁判で考慮され追従された。
 
Arnold Jによる完全判決は2015年9月10日に言い渡され Generics(UK)Ltd(t/a Mylan) v Warner-Lambert Company LLC[2015]EWHC 2548(Pat))、当事者自身およびNHSEによる種々の行動がWarner-Lambertの特許に関して与える影響についての有用な情報を提供するものである。これらの特別な行動は、将来、ある物質についての特許市場を非特許市場から分離する公式なシステムの開発を知らせうるものであり、それ故、第二医薬用途特許の権利行使を容易にしうる。
 
プレガバリンについての特許市場および非特許市場
 
その論争は、3つの症状:癲癇、全般性不安障害(GAD)および神経因性疼痛についての商標Lyrica(登録商標)でWarner-Lambertによって販売される薬物プロガバリンに関する。活性化合物に対する特許保護自体は満了しており、ジェネリック競争の可能性を開いた。しかし、Warner-Lambertは:
「疼痛を治療するための医薬組成物の製造におけるプレガバリンおよびその医薬上許容される塩の使用」
に関するスイス型クレームを有する第二医薬用途特許(EP 0934061B)も保有している。
 
ジェネリック薬物の製造業者であるActavisは、癲癇およびGAD、すなわち、Warner-Lambertの第二医薬用途特許のクレームによってカバーされていない症状を治療するための、ジェネリックのプロガバリンに対する販売承認を得た。Actavisは、非侵害の症状、すなわち癲癇およびGADのみに言及するいわゆる「スキニー・ラベル」を付して、2015年2月に(商標Lecaent(登録商標)で)ジェネリック製品を発売した。Actavisは、管理薬剤師にも、Lecaent(登録商標)は神経因性疼痛の治療についてはライセンスされていないことを知らせた。
 
疼痛症状は、プロガバリンの市場の約70%を占める。当然のことながら、Warner-Lambertは、医師が(ブランドを特定することなく)神経因性疼痛の治療にプレガバリンを処方すること、また、薬剤師が、プレガバリンが神経因性疼痛のために処方されてきたものであり特許保護が満了した症状の1つではないことを知ることなく、ActavisのLecaent(登録商標)製品を調剤することを危惧した。
 
従って、この訴訟は、より安価なジェネリックバージョンの薬物の処方および調剤に一般に有利となるヘルスケアシステムという背景において、そのLyrica(登録商標)製品についての特許市場を保護するWarner-Lambertの努力に関するものである。
 
スイス型クレームの範囲の解釈
 
スイス型クレームは、「症状Yを治療するための医薬の製造における物質Xの使用」の形式のものである。
 
それらは、医薬または医薬組成物の製造業者に向けられたプロセスクレームとみなされる。
 
仮差止命令を拒絶する判決において、高等裁判所は、スイス型クレームにおける単語「ための」(for)は「~に適しかつ意図された」を意味し、当該意図は薬剤の製造業者としてのActavisの意図であると判示した。証拠では、Actavisは、Lecaent(登録商標)が疼痛の治療に用いられることを意図しなかった。「ための」のこの解釈は、特許権者に、製造業者の側の主観的意図を立証する負担を負わせ、医師および薬剤師などの川下の当事者が、特許された症状のためのジェネリック薬物の処方および調剤を回避すべく何らかの措置を講じることを放免していると見ることもできる。
 
控訴審において、控訴審判事は、「ための」(for)は、製造業者が、薬物が特許発明(本件では疼痛)に意図的に使用されることを知っているか、またはそのように合理的に予測できることを必要とすると判示した。重要なことに、これは製造業者が当該発明それ自体を用いる何らかの具体的意図を有することを要するものではなく、その代わりに、川下の当事者の意図の認識または合理的予測可能性が決定を左右する。スイス型クレームの後者の解釈は完全裁判で追従された。Arnold Jは、この解釈を侵害事件に適用して、関連する意図を有する川下の当事者は処方医師および調剤薬剤師であって、患者ではないと判示した。
 
特許市場の保護
 
完全審決は、疼痛症状についてのジェネリックプレガバリンの誤処方または誤調剤の回避を告知および促進するために、Actavis、Pfizerおよび種々のヘルスケア組織体によってとられる行動を強調した。注目すべきことに、Actavisは、7,500人を超える管理薬剤師に書面を送ることに加えて、イングランドにおけるあらゆる臨床委託グループ(CCG)およびウェールズ、スコットランドおよび北アイルランドにおける対応する組織体に対しても書面を送り、Lecaent(登録商標)は疼痛についてライセンスされていないことを知らせた。裁判所の命令に従い、NHSEはCCGに対して指針を発行し、プレガバリンはブランド名Lyrica(登録商標)で疼痛に対して処方されるべきであり、プレガバリンが疼痛に対して処方される場合には、Lyrica(登録商標)が調剤されなければならないことを知らせた。UK内のGPプラクティスによって用いられるソフトウェアパッケージは、今回、プレガバリンが疼痛の治療のために処方される場合、特許権の存在の警告を提供するように更新された。
 
処方および調剤プラクティスに関する新しい指針のいくつかは十分に効果的となるには時間がかかるかも知れないが、Arnold Jは、「もし今までにそれが既に起こっていなければ、かなり近い将来、疼痛用のプレガバリンについてのほとんどの処方は、ブランドLyricaに言及して書かれるものと予測するのが合理的である」と確信した。
 
Arnold Jは、直接侵害の法律の1つの効果は、特許された症状に意図的に使用されることがその製造時に合理的に予測可能であったとの理由により薬物のバッチがスイス型クレームを侵害すると考えられる場合には、薬剤師などの薬物を取り扱う川下の当事者も侵害に対して責任を負うであろうという点であると注記した。そのような警告は、特許された症状を保護するための頑強なシステムを確立するためのインセンティブを与えて、ヘルスケアシステムおよび専門家による無意識の特許侵害のリスクを最小化する。事実、Arnold Jは、結びのコメントにおいて、薬物についての特許市場を非特許市場から分離すべく、中央集権的で権威のある指針が処方者および他の関連利害関係者に対して発行されるためのシステムを要求した。
 
侵害および有効性事件
 
事実に基づき、Arnold Jは、Actavisが当該特許を侵害しなかったと判示した。彼の意見では、Lecaent(登録商標)が疼痛用に調剤されるのを回避するためにActivisが講じた措置は、これが起こるリスクを最小化するのに十分であった。疼痛用に調剤されるLecaent(登録商標)のいくつかの例が証拠に引用されていたが、判事は、少数の例外的なケースは些細なこととみなすのが適切であると認定した。Pfizerによるその後の行動およびNHSイングランド指針は、その後製造されたLecaent(登録商標)のバッチもまた非侵害となったことから、このリスクをなお一層低下させた。
 
この侵害訴訟は、Generics UK Ltd.およびその後のActavisによって2014年に開始された取消訴訟と併合され、特許の有効性が争われた。完全審決のこの部分において、明細書はプレガバリンを用いて全ての種類の疼痛を治療し得ることに真実味を持たせなかったことに基づいて、当該特許は開示不十分のため無効と判示された。
 
判決のインパクト
 
控訴審の判決および完全審決におけるその適用は、医薬品産業およびバイオテクノロジー産業にとって潜在的にかなり重要なものである。侵害訴訟において成功するためには、特許権者は、製造業者が、ジェネリック薬剤が特許された症状に用いられるであろうことを知っていた、または少なくとも合理的に予測可能であったことを示さなければならない。完全審決は、どのようにしてこの「合理的予測可能性」スタンダードが適用されうるかに関する最初の指針、およびジェネリック製造業者がスイス型クレームを侵害するとみなされるのを避けるためにとる必要があるかもしれない行動を与えるものである。スイス型クレーム(およびそれからの推定によるEPC2000医薬用途クレーム)の有効性に関して、完全審決は、出願当初の特許明細書に信頼できる裏付けデータを含める重要性も強調する。
 
Arnold Jによる完全審決は物議を醸すものと一部の人々にみなされる可能性が高く、特許権者による控訴は避けられないように見える。このストーリーはまだ終わっていないようである。
 
さらなる情報についてはStephen Smith博士に連絡をお取りください。

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