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風力タービン技術の特許トレンド調査

20 September 2018

発展する他業界同様、風力発電分野も過去10年間にめざましい技術的進歩を遂げ、ライバル各社は競争力を付けるため、独自または重複する技術分野で特許革新に競って取り組んでいます。大手知的財産事務所ポッター・クラークソン のエネルギー・セクター・グループ長を務める弁理士ベン・リンコン は、風力発電業界が将来の研究開発予算を投資する可能性が最も高い分野を理解するための手掛かりとなるように、過去10年間の風力タービン技術の特許出願トレンドを調査しています。
 
技術革新分野の決定
基本的に、提出された特許出願はその主題によって分類され、それが特許検索を容易にします。また、特許庁の審査官は、この分類システムを使用して、類似した主題を開示する過去の特許公報を調べることにより、新たな特許出願のクレームに新規性があり、かつ特許を付与するに十分な進歩性があるかを確認できます。 
 
そのため、特許分類システムを使用すると、風力エネルギー分野ではブレードまたはローター、コンポーネントまたはギヤボックス、タービン制御、発電機、ナセル、洋上タワー、陸上タワーに関する特許を閲覧することができます。

Fig1.PNG
1 - 風力タービン技術の特許分類別年間特許出願数(完全なデータが入手可能なのは2015年以前のみ)

特許出願数は減少傾向 - 技術革新には悪いニュースか?
特定の年の特許出願数(図1参照)を業界の技術革新レベルのバロメーターとすると、最初の明確なトレンドは2007年から2011年の相次ぐイノベーションであり、特許出願数がほとんどの分野で2011年にピークに達しました。陸上タワー技術の出願数ピークは1年遅れて2012年でした。 
 
ここで、次の大きな傾向が発生します。特許出願数が大幅に落ち込み、ブレードおよびローター技術でほぼ40%、ナセル技術でほぼ70%減少しました。風力タービンのギヤボックス技術およびコンポーネント、ならびに陸上タワー技術は最近この傾向に反発して技術革新を進めているようです。 
 
特許出願数が変化した理由は複雑であり、一般に、全般的な経済情勢、入手可能な研究補助金や資金の変動、研究開発から商品化への製品ライフサイクルによるリソースの移動のような要因の組み合わせによって決まります。このトレンドは全世界の再生エネルギー1への投資と強く連動しています。

fig2.PNG
2 - 風力タービン技術の特許分類別年間特許付与数
 
成熟する技術と台頭する技術
特許を出願しても、その発明が必ずしも新規性および進歩性の必要基準を満たすわけではありません。図2は、特許分類別に毎年付与された特許の数を示しています。一般に特許の出願から付与まで3年から5年かかるとすると、図1および図2のグラフにおいて出願数のピークから付与数のピークまでずれがあると予想されます。図1の特許出願数のトレンドと同様に、特許付与数も2009年から2012年にかけて急増し、2017年に減少しています。 
 
しかしながら、いくつかの違いに注目すべきです。例えば、特許出願数は2007年以降ブレードおよびローターが最高ですが、特許付与数は最近までタービン制御の分野が1位でした。これは、タービン制御の分野でより優れた技術革新が行われているという事実で説明されるかもしれませんし、あるいはブレードおよびローターの分野の方に既存の特許が多く、この技術分野での特許取得がより困難だったからかもしれません。ただし、より最近では、ブレードおよびローターの分野の特許出願数はかなり減少しているものの、この分野の特許付与数は増加し続けています。これは、技術が成熟するにつれてより良い革新が行われていることを示すものでしょう。

図1および図2では、特許の出願分野と特許の付与分野を見てきました。図3は、特許出願者と出願分野を示しています。

fig3.PNG
3 - 1994年から2018年1月までに提出された特許出願による、主な風力タービン特許出願者とその特許の分類
 
ゼネラル・エレクトリック社は最大の出願者であり、ブレードおよびローター、タービン制御の分野でかなりの地位を占めています。ブレードおよびローターについては、ゼネラル・エレクトリック社が2番手のシーメンス社よりも80%多くの特許を出願しています。ギヤボックスおよびコンポーネントはより接戦の技術分野であり、シーメンス社および三菱重工業社がトップで、華鋭風電科技集団、ゼネラル・エレクトリック社および国電総合動力技術有限公司がすぐ後に続きます。発電機ではシーメンス社が支配的ですが、陸上タワー技術では、シーメンス社、ゼネラル・エレクトリック社、ヴェスタス・ウィンド・システムズ社が主要グループです。
 
今後
このデータマイニングからわかるように、自らの置かれた特許環境を理解することは、成長を求めるどの企業にも非常に役立つと考えられます。そうすることで、付与された時点で問題のある特許を発見できるだけでなく、競合他社が進めている分野と、自社の特許出願戦略を最適に調整する方法が理解できます。競争の中で優位に立ちたい風力エネルギー製品の発明者にとって、これはまさに検討すべき材料です。

ベン・リンコンは、大手の知的財産事務所ポッター・クラークソン社の経験豊富な英国・欧州弁理士です。特にエネルギー分野の専門知識を備え、幅広い技術に対応可能です。

参照資料
(1)   http://www.ren21.net/Portals/0/documents/activities/Topical%20Reports/REN21_10yr.pdf

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