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Warner-Lambert v Actavisにおける控訴審判決:第二医薬用途特許の有効性および侵害に関するさらなる指針

22 November 2016

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Warner-Lambertおよび様々なジェネリック製薬会社に関する一連の複雑かつ進行中の紛争において、控訴裁判所は、プレバガリンについてのWarner-Lambertの第二医薬用途特許は部分的に無効であり、従って、Actavisによって侵害されていないという高等裁判所の判決を支持した。我々は、この高等裁判所判決についここで 報告した。

2016年10月13日の控訴裁判所判決(Warner-Lambert Company LLC v Generics (UK) Ltd (t/a Mylan) & Ors [2016] EWCA Civ 1006)は、「症状Yを治療するための医薬の製造における物質Xの使用」の形式であるスイス型の第二医薬用途クレームの有効性および侵害を検討した。この判決は、出願時の特許出願明細書が、物質Xが治療目的を達成するのに効果的であることに少なくとも真実味を持たせる必要性と、症状Yが必然的に2以上の部分に分けられる場合にクレームの範囲の個々の重要な部分を考慮する必要があることとを確認するものである。Actavisに対して主張された有効な特許クレームは無く、Warner-Lambertの侵害事件は失敗に終わった。それにもかかわらず、控訴裁判所は、スイス型のクレームについての侵害に関するテストがどのように適用されうるかの釈明をした。拘束されるつもりはないが、この指針は、UK裁判所の将来の判決を十分に考慮しているようである。
 
開示不十分のために部分的に無効であると判示されたWarner-Lambertの特許
 
特許クレームの開示の十分性に関する要件の1つの側面は、明細書がその発明に真実味を持たせるべきことである。控訴裁判所のFloyd LJは、EPOおよび国内判例をレビューして、真実味の要件の一般的原理を引き出し、それは「低閾値テスト」であると考えられるべきことを強調した。彼は、「発明者が、なぜ発明が機能するかまたは機能しうるかについて合理的に信頼できる理論を提供する場合、クレームは憶測ではないものと容易に解される。これは、明細書中のデータが、読み手が当該発明を試みるべく促されるようなものである場合にも当てはまる。」と注記した。
 
Warner-Lambertの特許は、全てのタイプの疼痛の治療についてのプレガバリンの効能につき広いクレームを規定したが、この当該特許における限定されたデータがなぜ一般化できるについての統一的原理を提供しなかった。従って、判決の論拠は、統一的原理が常識から明らかになり得たか否か、および明細書中のどのデータが読み手をして「当該発明を試みる」ように促したのかに関して、大いに鑑定に依存するものである。
 
当該特許のクレーム1および3のみが侵害訴訟手続で主張され、それらの症状はそれぞれ「疼痛」および「神経因性疼痛」であった。当該特許の優先日において、「疼痛」は多数の異なるタイプ、とりわけ、炎症性疼痛および神経因性疼痛に分類されると認識されていた。神経因性疼痛は、それ自体、自然に、末梢神経因性疼痛および中枢神経因性疼痛に分けられた。当該特許におけるデータは、プレガバリンが炎症性疼痛の治療で有効らしいことを明瞭に示し;控訴裁判所は、炎症性疼痛および末梢神経因性疼痛の間の十分なメカニズム的リンクがあったという第一審における認定を支持して、プレガバリンが末梢神経因性疼痛の治療においても有効であろうことを真実味があるものとした。具体的には、これらのタイプの疼痛の双方は、種々の有害な刺激は侵害受容器知覚線維に作用して脊髄内での効果をトリガーする現象である「中枢性感作」によって特徴付けることができるのが常識であった。鑑定は、当該特許の名宛人が、炎症性疼痛に関するデータによって促されて当該特許において特定される単純なテストを行い、末梢神経因性疼痛の治療に対するプレガバリンの適合性を確認したことを示した。
 
当該訴訟手続におけるカギとなる争点は、クレーム1および3が中枢神経因性疼痛を含むと解釈されるべきか否か、および当該特許が中枢神経因性疼痛の治療につきプレガバリンの効能に真実味を持たせているのか否かであった。控訴裁判所は、疼痛が「いずれのタイプの疼痛も」を意味するとした第一審判決を支持した。中枢性感作によって特徴付けられる疾患のみを含むような「疼痛の」より狭い解釈は、それらの起源について常識的理解が無かった疼痛疾患の具体的リストに鑑みて、正当化できなかった。「末梢神経因性疼痛」を意味する用語「神経因性疼痛」の用法のいくらかの証拠はあったが、当該特許は全ての種類の疼痛を治療するプレガバリンの効能に関して非常に広いクレームを規定し、従って、文脈は狭い解釈を正当化しなかった。こうして、クレーム3は症状として末梢および中枢神経因性疼痛の双方を含むものと解釈された。中枢神経因性疼痛は発作および多発性硬化症を含めた重要な疾患をカバーする「当該クレームの重要な部分」であると判示され、当該クレームの真実味を考慮する場合に無視できないものであった。当該特許には中枢神経因性疼痛の効能について予測できるデータはなく、当該特許で言及されたテストは中枢神経因性疼痛についてのテストではなかった。従って、クレーム1および3の双方は無効であると判示された。
 
Warner-Lambertは条件付き適用を行い、クレーム3を補正して末梢神経因性疼痛に限定したが、これは、訴訟手続の濫用として高等裁判所によって拒絶された。控訴裁判所は、今回、この判決を支持し、Actavisに対する有効なクレームを主張するための開かれた道をWarner-Lambertに残さなかった。
 
この判決は、第二医薬用途特許クレームの全ての重要な領域に関して、なぜ実験データが発明に真実味を持たせられるのかについての技術的論拠を特許出願に含める重要性を強調するものである。これは、厳密にテストされた科学的仮説である必要はなく、単なる「合理的に信頼できる理論」であればよい。この判決は、出願日において合理的に信頼できる裏付けがない症状の長いリストを含むことのリスクも示している。
 
スイス型クレームの侵害に関するテストの明確化
 
控訴裁判所は、本件における仮差止命令手続においてスイス型クレームの直接侵害についてのテストを既に確立していた。特許された症状(この場合は疼痛の治療)に当該薬物が意図的に使用されることを製造者が知っている場合やそれが合理的に予測可能な場合には、直接侵害は認定されるであろう。このテストを高等裁判所で適用するにあたり、判事は、処方医および調剤薬剤師の意図こそが、特許された症状を治療するための意図的な使用の有無の立証に関連すると判示した。
 
スイス型クレームの解釈に関する控訴裁判所の先の分析は法的拘束力は無いが、Floyd LJは、侵害テストの高等裁判所の適用についてコメントするのに苦心した。Floyd LJは、判事が医師および薬剤師の意図を別々に考慮することによって疼痛の意図的な治療の要件を分析したことは間違いであると考えた。彼は、人は、通常、ある人物を、彼の行動の結果として彼が知っていることまたは合理的に予測できることを意図するものと見なすであろうと述べた。Floyd LJは、意図の推定を否定するためには、製造者はその結果が起こるのを阻止するためにその能力内で全ての合理的な措置を講じなければならないと考えた。当該事件においては、近い将来、そのジェネリックのプレガバリン製品Lecaent(登録商標)が疼痛の治療に用いられるのを阻止するために、Actavisがその能力においてあらゆる合理的な措置を講じたか否かが争点となるであろう。
 
Floyd LJは、当該発明を(他の当事者によって)実施させるための手段が一方の当事者によって提供されることを要件とする間接侵害に、スイス型のクレームを対象にすることができるか否かについても検討した。当該発明は、疼痛を治療するための医薬組成物の調製におけるプレガバリンの使用である。Floyd LJは、組成物を調製する方法が、製造者によって行われるいずれかの包装ステップを通じて継続することができ、薬剤師によって行われるラベリングステップを含むことを認めた。
 
最高裁判所へのさらなる控訴がなされて関連する事項で有効であると判示されないかぎり、スイス型のクレームの正しい解釈またはActavisの活動へのその適用の争点は、これらの訴訟手続において最終的に決定されないであろう。それにもかかわらず、様々な他のジェネリック製造者は、現在、UKのプレガバリン市場において活動しており、Warner-LambertはSandozに対する別の訴訟手続にも巻き込まれている。末梢神経因性疼痛の特定のタイプに対するWarner-Lambertの特許クレームのいくつかが有効であると判示されるかもしれず、スイス型クレームの解釈および侵害に関する法的拘束力が進行中の訴訟手続から生じるであろう、という合理的な展望があるように見える。本控訴裁判所の判決におけるこのトピックに対するFloyd LJの寄与は大きな影響を与えそうである。

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