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EPOのガイドライン発表、AIに前向き

29 October 2018

2018年11月1日発効の欧州特許庁審査ガイドラインの最新版は、人工知能と機械学習の特許性に関する直接的なガイダンスを初めて提供するものとなっています。今回の改訂にいたる動機、また、この非常に時事的な技術革新分野に関与する現在および今後の出願者への影響をまとめてみました。

機器類が認知機能を模倣する形で、認識した環境に基づいた行動を取るという概念の人工知能(AI)と機械学習(ML)は、日々の社会にますます浸透しつつあり、ニュースのトップを飾らない日はないほどです。例えば医療分野では、AIは、パーキンソン病加齢性黄斑変性症といった衰弱疾患をより一層効果的に診断できる新しい臨床判断サポートシステムを支えています。製造業から小売業まで幅広い分野において、AIとMLの特性を活かすことは、私たちの生活を今後長きにわたって変えていく可能性につながると考えられています。 

第10回全国知的財産弁護士協会グローバルネットワークサミット(Global Network of National IP Practitioner Associations Summit)で、ポッター・クラークソンのデザイン&エンジニアリングおよびエレクトロニクス&コンピューティンググループにおけるパートナーであるサイフル・カーン(Saiful Khan)氏は、この分野における同社の専門知識を紹介し、その中で欧州でのAI発明に対する知的財産保護の概要について語りました。

AIおよびML発明特許のガイダンスを提供するため、欧州特許庁(EPO)は数学的手法に対するガイドラインの改訂版を発表し、基本的には特許性に該当しないこととしました。これは他の主要な特許庁と同様の立場です。ただし、この除外事項は狭義に解釈されます。技術的特性を持ち、技術上の問題に技術的解決を与えると見なすことのできる方法で特許申請された数学的手法は、EPOが有利にとらえることがあり得ます。

AIとMLについての改訂版ガイドラインでは、例えばニューラルネットワークの使用を単に申請するだけではそれ自体で技術的特性を確立しない可能性があることを追認しています。しかしながら、技術的に特有な方法でニューラルネットワークを使用し、それが技術上の問題を解決するものであれば、技術的特性を持つと見なされることも可能です。この認識は、COMVIKの事例に則ってEPOに先立って示されていた、ソフトウェアをベースにした発明の保護方法に対する現時点での解釈に完全に一致するものです。

この改訂版ガイドラインは、AI関連の発明を検討する際にどのような案件を特許性がある、あるいはないと見なすことができるのか、その例を示したところに大きな意味があると言ってほぼ間違いないでしょう。肯定的な例の一つとして、不整脈を特定するための心臓モニター装置内ニューラルネットワークの使用が挙げられています。有利性が低い例としては、抽象的データレコードの分類で、分類の堅牢性といった特性があっても分類の目的が技術的明確さを欠いたものなどが挙げられています。

欧州において、AIとMLに関する発明は相変わらず非常に多数検討されていますが、特許の申請書類作成や請求の際は、EPOで有利に検討される確率が高まるよう、EPOが出した事例の意味合いを考慮することが重要です。もちろん、この分野全体での特許権保護に対する要件の違いに応じるよう注意を払うことも必要です。

それでもなお改訂版ガイドラインは、EPOがAIやMLを利用した発明の受け入れにオープンであることが確認できた朗報であり、イノベーターに確信をもたらすものとなるでしょう。ただし、この急速に進歩する非常にダイナミックな業界の技術については、さらに充実したガイダンスが市場参加者全体に大きく歓迎されることは間違いありません。

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